喜びの約束 Promise of Delight
内容紹介
本書を手にする方は、エマヌエル・スヴェーデンボルイの『天界と地獄』その他の著書を、すでに読まれていることでしょう。それが人生に、どのような関わりをもつかは、人それぞれ違いがあり、吸収の過程や段階も様々ですが、編者の接した限りでは、次のような過程を経る場合がよく見られます。
最初は半信半疑の段階です。スヴェーデンボルイは中世の詩人ダンテをしのぐ空想家である。見たこと聞いたこととは言っているが、おそらくは自問自答したか、ものすごい想像力をもっていたか、催眠中ファンタジーの世界をさまよったか、他界の霊に憑かれたかして、いろいろと書き記したのであろう。かれは交霊術の専門家、霊媒のなかの霊媒であろうと。心理的なアプローチをとる人には、大なり小なりこの解釈で読み始める人が多いようです。
次は、ある一定の宗教を信じている人、とくに神を信じ、救いを信じ、キリスト教を信じている人の場合、最初の過程を通り越して、すぐ次の段階に入ります。現代の既成宗教や教会組織・習慣にあきたらず、キリスト教をもっと理想化して眺めてみたいと思っている人です。スヴェーデンボルイの記した著作を読んで、そこに超教派的、ユートピア的、あるいは無教会的な自由と、俗塵をはらいのけた神秘の光があると思い、それにひかれ、信仰の目で、著作を見る人たちです。
そしてさらに、上の段階に入る人も、少なくありません。スヴェーデンボルイの著作のなかに、主の内的に隠された〈みことば〉を発見し、それを神の啓示として受け取り、これにもとづいて、現実的に、日常の個人的・家庭的・社会的責任と役立ちを果たし、教会としての具体的な団体を形成していきたいと願う人たちです。
さて本書は、第三の段階にある人たちによって形成され、組織された「新エルサレム公教会 The General Church of the New Jerusalem」の司教や牧師が、日曜日の礼拝の中で語った説教をまとめたものです。ただし前二者の人たちにも読みやすく、分かりやすいものを選びました。たとえ好奇心から読まれても、人生の問題解決の糸口を発見できるものと思います。
全五十二編の説教は、一年五十二週をめぐって、日曜日の心の養いに、訳者の任意でアレンジさせていただきました。日毎夜毎の霊の糧としても、利用してくだされば幸いです。
なお今回は第三版になりますが、重ねて校正をした結果、縦書きを横書きに改めました。読者の方々によろこばれることを期待しています。