小品集

黙示録19章にある「白い馬」(原典初版1758年)、「アタナシオスオス信条」(原典初版1759年)、「仁愛の教義」(原典初版1766年)について 。


定価¥1500

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内容紹介例:

CH5. 罪を罪として認めることは、[つまり自分を見てその罪に気づくことは]、だれにでもできます。それを許されたことと心に思い、外的行動に移すことは、世間が許さないためだとすれば、以上が分かっていないことになります。それはちょうど自分の顔を見る鏡を、布で覆っている人のようです。あるいは顔を見ようとして、自分の目の前に穴だらけの布を置く人のようです。

 [欄外に記入] 反省事項 1) それが行為の上だけを見ると、たいして悪くないのは分かるが、それでは十分とは言えない。その理由は、 2) 思いとか意図について反省してみると、多くのことが分かってくる。 3) 何が罪とみなされ、何が罪とみなされないかを吟味してみると分かってくる。人はすべて許されていると考えるとき、それを行う。それが許されているとするのは意志であり、推進力であって、それが霊の中で肯定される。障害になるものが遠ざけられたとき、体を使ってそれを実行する。マキャベリ主義者の場合はそうである。


訳者あとがきより

従来まで、小社発行の原典訳は、エマヌエル・スヴェーデンボルイによる大小の作品全体から任意に選び出し、独立した単行本として出版しましたが、今回初めて次のように、小品三部を一冊にまとめ、『小品集』というタイトルで出版することにしました。内容は、次のとおりです。

  『白い馬』       (原典初版一七六八年)

  『アタナシオス信条』  (原典初版一七五九年)

  『仁愛の教義』     (原典初版一七六六年)

 『白い馬』については、原題では『黙示録第十九章にある白い馬について De Equo Albo de quo In Apocalypsi, Cap:XIX 』です。翻訳の底本としては、1934年英国スエデンボルグ協会発行の ラテン原典を用いました。原典の副題には、『「天界の秘義」による〈みことば〉と、その霊的・内的意味について De Verbo & Ejus Sensu Spirituali seu Interno ex Arcanis Coelestibus』とあ りますが、それは『天界の秘義』2760にもあるように、黙示録19章の「白い馬」を例にした〈みことば〉の霊的・内的意味の解説です。この小著16節には、聖書の中のどれが〈みことば〉の書、すなわち霊的意味を含むものであるかを挙げております(『天界の秘義』10325、および『新エルサレムと天界の教義』266にも、同じ内容のものがあります)。

 本小著は、『宇宙の諸天体 De Telluribus』『天界と地獄 De Coelo et ejus Mirabilibus, et de Inferno』『最後の審判 De Ultimo Judicio, et de Babylonia Destructa 』『新エルサレムと天界の教義 De Nova Hierosolyma et Ejus Doctrina Coelesti』と同じく、スヴェーデンボルイが七十歳のとき、すなわち1758年に、出版発行されています。

 ついで『アタナシオス信条 De Athanasii Symbolo 』について触れておきます。この小著の自筆原稿は現在残っておりません。内容は、新教会教義の神学的護教論です。本書は、西暦四世紀に活躍したアレキサンドリアの司教アタナシオスの名をとり、中世のラテン教会で用いられた信条を指しています。スヴェーデンボルイは、この信条のどの点が正当で、どの部分が誤謬であるかを指摘します。『白い馬』の翌年、1759年に出版されていますが、同年には、『黙示録講解 Apocalypsis

Explicata』『主についての新エルサレムの教義 Doctrina Novae Hierosolymae de Domino』が出て います。原典和訳の底本は、1954年英国スエデンボルグ協会発行の英語対訳付のものです。

 本小品集の最後にある『仁愛の教義 De Charitate 』は1766年発行で、同年、『啓示された黙示録 Apocalypsis Revelata 』『天使たちと語る Colloquia cum Angelis』『五つのメモ Quinque  Memorabilia』『結婚について De Conjugio 』など、大小含めいくつかの著書が出されています。翻訳の底本としては、米国スエデンボルグ印刷出版協会発行のスヴェーデンボルイ小品6編といっしょに出版された遺稿集を用いました。『仁愛の教義』の内容は、それから5年後の1771年に出版される『真のキリスト教』第7章のための下書き原稿のような印象を受けますが、後者にない内容が種々含まれていて、豊富な例や教訓が盛られています。

        一九九八年 六月十九日(新教会記念日)にあたって   訳者しるす

                  注・ 新教会記念日については、『真のキリスト教』791参照のこと