天界の秘義 第巻 Arcana Caelestia Vol 7
内容紹介
まえがきより
第六巻には、いくつかの山場がありましたが、第七巻は、一貫してヨセフ物語です。エジプトに連れてこられたヨセフは、皇帝パロの侍衛長ポテパルの奴隷になりました。かれの正直さと誠実さが信頼され、侍衛長の館のいっさいを任せられます。ところがポテパルの妻は、ヨセフを不倫行為に誘いますが、ヨセフはそれに乗らず、反って妻の逆恨みを買い、不倫の罪を着せられ、監禁されました(第39章)。同じ監禁所に、二人の宮廷吏、パロの給仕長と料理頭が入れられて、不思議な夢を見、それをヨセフに打ち明けたところ、ヨセフは二人の来るべき運命を予告し、給仕長は、赦されて復職し、料理頭は、木にかけられて殺されました(第40章)。
助かった給仕長は、ヨセフのことをすっかり忘れていました。ところが今度はパロが不思議な夢を見、それを解き明かしてくれる魔術者や知者をエジプト中から集めますが、だれも解き明かしてくれません。そのとき給仕長は、自分の夢を解き明かしたヘブル人のことを思い出し、皇帝に告げ、ヨセフは呼び出されました。皇帝の夢は、七年の豊作と、七年の飢饉の予告であると聞き、皇帝はその解き明かしを喜び、ヨセフをエジプト全土をつかさどらせる宰相にし、飢饉に備えるための準備をさせました(第41章)。
飢饉はカナンの地にも及び、ヤコブはベニヤミンを除く十人の息子たちを、食糧を買うためエジプトに送り出しました。ヨセフは十数年前、自分を売った兄弟たちを見て、すぐそれと分かりましたが、兄弟たちは気がつきません。スパイの嫌疑を晴らすため、次に食糧を求めてくる際、ベニヤミンを連れてくるように言われ、十人は、カナンの地に帰りました(42章)。
ヤコブは悲痛な思いで、ベニヤミンを行かせることにし、一行は、ベニヤミンを連れ、エジプトに旅立ちました。エジプトに着いた一行は、ヨセフに歓迎されますが、ヨセフの正体は明かされません。ヨセフはかれらといっしょに食事をし、ラケルを母とする唯一の兄弟ベニヤミンを特別に優遇します(43章)。
以上は創世記第39-43章までの歴史的物語です。しかしスヴェーデンボルイは、その記録の意図が、文字の背後に隠された内的意味にあることを指摘します。歴史の背後に流れる主要テーマは、人間の再生の複雑な過程であり、進展です。アブラハムに始まった主の神人性完成という主要テーマが、一時的に背後にしりぞき、ヨセフが演じる霊的人間完成にいたる経過が浮き彫りにされます。
創世記第12章に始まるアブラハム、その演じる天的・霊的なものは神化され、イサクの演じる合理性の神化、それに続くヤコブの演じる自然性の神化には、主の神人性の完成が視野に置かれています。その後、ヨセフの演じる霊的人間の完成によって、感覚を含める自然性が浄化されることによって、主の神人性はいっそうの完成度に達し、霊的人間の完成が示されます。